
「自炊=安い」というイメージを持っていても、想定より高くつくことがあります。
そこで今回は、「自炊はコスパが悪いのか?」「悪くなる原因は何なのか?」など、自炊の気になるポイントを解説します。
簡単にできる節約方法も解説しているので、コスパアップを目指す人は参考にしてみてくださいね。
また、最後は自炊・中食(お惣菜など)・外食の費用も比較しています。
他の食事方法と比較して、自炊はどのくらいコスパが良いのかもチェックしてみましょう。
自分の食生活と照らし合わせると、「自分に合う食生活」「これからの改善方法」などが見えてくるはずです。
コスパが悪い理由は「お金・時間・手間・やる気」の不足

食事におけるコスパは、「お金・時間・手間・やる気」の4つをバランス良く満たすことが大切です。
食材費を安く抑えても、調理の時間・手間がかかっていれば低コスパと言えます。
さらに、お金・時間・手間のコスパが高くても、調理の「やる気」がなければ自炊につながりません。
自炊における「良コスパな食事」を続けるには、「お金・時間・手間・やる気」をバランス良く維持する必要があります。
一人暮らしの自炊でコスパが悪くなる6つの原因

一人暮らしの自炊でコスパが悪くなる原因は、以下の6つが考えられます。
食材費が割高
1食分を目安に食材を購入してしまうと、食費は割高になってしまいます。
たとえばキャベツの場合、「1玉213円」と「1/4カット73円」といった価格で販売されます。
1/4カットのキャベツを1玉分にすると、価格は1玉292円です。
※出典:イオン 東北ネットスーパー
食費を安く済ませようと一食分の食材だけ買ってしまうと、結果的に割高になります。
もちろん、「冷蔵庫の容量」や「1回の食事で食べきれない」といった問題は出てきます。
これらの問題に関しては、「自炊でコスパをアップさせる5つの簡単節約術」で詳しく解説するので参考にしてみてください。
食材を余らせる
「食材を余らせる」=「食費を無駄にしている」につながります。
食材が余る原因を挙げていくので、心当たりのある人は食材の使い方を見直してみましょう。
食材が余る原因
●食材の保存方法が間違っている
●保存の効く食材を選んでいない
●献立を考えずに買っている
野菜や肉類など生鮮食品の場合、正しい保存方法を知らないと長期保存できません。
結局、使い切れないまま冷蔵庫に放置されます。
さらに、食材といっても生鮮食品がすべてではありません。
缶詰や冷凍食品など、長期保存に向いた食材もあります。
うまく使い分けて、食材の無駄を省きましょう。
また、献立を考えず安売りしている食材を買うのもNGです。
どれだけ安い食材も、使わなければ余計な出費になります。
大切なのは、「保存」と「献立の計画」を考えて買い物することです。
旬の時期に食材を買えていない
旬の時期を考えずに食材を買ってしまうと、1食あたりの費用はお惣菜・お弁当と大差ありません。
多くの食材には「旬」があり、旬の時期は収穫量や流通量が多くなるため食材が安くなります。
どのくらい価格が変わるのか、農林水産省のデータをもとに見ていきましょう。
【食材の価格(円/㎏)について】
季節 | たまねぎ(3~4月) | トマト(6~8月) | キャベツ(12~6月) |
春 | 228円 | 703円 | 183円 |
夏 | 273円 | 660円 | 221円 |
秋 | 238円 | 855円 | 164円 |
冬 | 235円 | 727円 | 133円 |
※各季節の平均価格
※出典:農林水産省 食品価格動向調査(野菜)
上記のとおり、旬の時期以外は食材の価格が高くなりやすいです。
コスパアップのためにも、旬を意識して買い物してみましょう。
▼以下のサイトでは、食材の旬をカレンダー形式で紹介してくれています。
自炊の「休日」を作らない
自炊の「休日」を作らないと、「手間・時間・やる気」のコスパが悪くなります。
自炊を毎日する必要はありません。
仕事や学業で疲れていると、やる気が起こらない日もあります。
お惣菜やお弁当に頼る日があっても、自炊は続けられます。
休める日を適度に作って、コンスタントに自炊できる環境作りに意識を向けてみましょう。
料理の時間・手間がかかりすぎる
料理の時間・手間がかかりすぎては、どれだけ安い食材をそろえてもコスパは悪くなります。
一人分の料理に係る工程全体の時間を簡単に見ていきましょう。
料理の工程・時間
・食材の下ごしらえ:10~20分
・調理 :20~30分
・食事 :10~30分
・後片付け :10分
全工程で50~90分はかかる想定です。
時短調理や作り置きなど時間・手間を減らす工夫をしないと、日々のコスパは良くなりません。
やる気もそがれてしまうため、「自炊のコスパをアップさせる5つの簡単節約術」を参考にコスパアップを目指しましょう。
調味料の費用を計算していない
意外と忘れがちなのが「調味料」にかかる費用です。
一般的なスーパーで売られている調味料の価格を見ていきましょう。
【調味料の価格】
調味料 | 1㎏・1ℓあたりの価格 | 大さじ1あたりの価格 |
砂糖 | 224円 | 3円 |
塩 | 97円 | 2円 |
酢 | 534円 | 8円 |
醤油 | 289円 | 4円 |
味噌 | 314円 | 5円 |
合計 | 1,458円 | 22円 |
上記の調味料を使う場合、一食分にかかる調味料の費用は20円以上と想定できます。
小さい容器に入っている調味料は割高なので、より食費がかさむでしょう。
「計算しているより食費が高い」「なぜか出費がかさむ」といった人は、調味料の費用も含めて計算してみてください。
自炊のコスパをアップさせる5つの簡単節約術

自炊のコスパをアップさせる節約術を5つ解説します。
「いつもしている自炊」に「ちょっとしたコツ・テクニック」を追加するだけで、自炊のコスパは良くなります。
コスパアップ!5つの簡単節約術
●作り置きで「無駄・手間・時間」を省く
●チラシアプリで食材費を節約
●食材は冷凍保存して無駄を予防
●献立通りの買い物で無駄遣い防止
●時短アイテムで時間&お金を節約
作り置きで「無駄・手間・時間」を省く
作り置きは食材の「無駄」と自炊の「手間・時間」を省く、コスパアップに欠かせないポイントです。
作り置きのメリット
●2~3日分を作り置きすることで捨てる食材を減らせる
●作り置きがあると調理の手間と時間を省略できる
「食材費が割高」でも解説したように、1食分の調理は食材を余らせやすく、食費の無駄につながります。
しかし、作り置きで2~3日分の食事を調理しておけば、まとめ買いした食材を無駄にすることなく調理できます。
また、作り置きがある限り、毎日自炊する必要もありません。
自炊をするにしても、簡単な調理でおかず1~2品追加する程度で済みます。
著者おすすめの作り置きメニューを紹介するので、参考にしてみてくださいね。
【おすすめの作り置きメニュー】
日持ち(冷蔵) | おすすめの理由 | |
レンコンのきんぴら | 約7日 | ・日持ちしやすく ・お弁当のおかずにもOK |
肉そぼろ | 3~5日 | ・おかず、丼、トッピングなど、バリエーションが豊富 |
なすの南蛮漬け | 約5日 | ・カット野菜を使えば、電子レンジだけで調理可 |
ハンバーグ(タネ) | 1日 (冷凍で約2週間) | ・焼くだけで本格的なメイン料理になる |
カレー | 約3日 | ・ご飯を用意するだけで食べられる ・料理が苦手な人にも作りやすい |
副菜は作り置き、メイン料理をお惣菜といった組み合わせもおすすめです。
食材は冷凍保存して無駄を防止
余った食材は冷凍保存して、食費の無駄を予防しましょう。
肉・野菜それぞれの冷凍方法・コツを解説するのでチェックしてみてください。
肉の冷凍方法・コツ
●パックから取り出して、肉に付いた水分をキッチンペーパーで拭き取る
●冷凍する際は密閉保存袋がおすすめ
●小分けする場合はラップで包む
●金属製トレイの上に置き、急速冷凍で品質を保つ
※冷凍保存の目安は約1ヶ月
冷凍保存する際は、なるべく肉が空気に触れないよう気を付けてください。
空気は肉の酸化・乾燥の原因となり、味が落ちます。
また、約1ヶ月冷凍保存できるといっても、空気に触れていると劣化は進みます。
なるべく早く調理して、傷まないようにしましょう。
では、野菜の冷凍方法・コツを解説します。
野菜の冷凍方法・コツ
●野菜の水分はしっかり拭き取る
●金属製トレイの上において、急速冷凍で野菜の品質を保つ
●下茹でした場合は粗熱を取っておく
●繊維質、水分の多い野菜は冷凍に向かないので、そのまま冷凍するのは避ける
キャベツやトマト、ニンジンなどは冷凍に適していません。
しかし、キャベツ・ニンジンはカットして冷凍することで、独特な繊維質を抑えられます。
水分の多いトマトや大根などは、潰してソースにしたり、すりおろしたりしておくと冷凍できます。
一方、葉物野菜は冷凍に適した野菜です。
下茹でして冷凍しておくと、調理の下ごしらえを省略できますよ。
チラシアプリで食材費を節約
チラシアプリを使えば、食材費を効率的に節約できます。
チラシアプリとは、スーパーやドラッグストアなどの「お得情報」をチェックできるアプリです。
チラシアプリのメリットを見ていきましょう。
チラシアプリのメリット
◎特売情報をアプリ一つでチェックできる
◎わざわざ店舗まで足を運んで値段を見る必要がない
◎クーポンが配信されるチラシアプリもある
チラシアプリがあれば、複数の店舗を周って安い食材を探す必要はありません。
自宅で目星を付けて、安い食材を買いに行けます。
以下は、おすすめのチラシアプリです。
トクバイは全国7割以上の食品スーパーが掲載されるチラシアプリです。
お得情報をアプリでチェックして、購入すべき食材をピックアップしましょう。
献立通りの買い物で無駄遣い防止
あらかじめ献立を決めておけば、余計な買い物による無駄遣いを防げます。
買い物で出費がかさむ原因は「予定にないものを買う」ためです。
たとえば、以下のようなケースが挙げられます。
余計な出費の例
●なんとなくコンビニに入って必要のないものを買う
●スーパーで予定にないお菓子やドリンクを買う
●普段は買わない「珍しい調味料」を買う
●「特売」「安売り」などと書かれた商品を衝動買いする
調味料や特売品などは問題ないように思うかもしれませんが、「使う予定がないもの」であれば無駄な出費です。
どれだけ安くても、食材として使わなければ意味がありません。
買い物をする際は献立を決めて、買う食材をピックアップすることが大切です。
買い物用の財布を作り、必要なお金だけ入れておくというのもおすすめですよ。
電子レンジで光熱費&手間・時間を節約
電子レンジで野菜の下処理を行えば、光熱費&調理の手間・時間を節約できます。
ガスコンロで下茹でするよりも、電子レンジの方が短時間で野菜に火を通せます。
電子レンジとガスコンロで、野菜の下処理にかかる光熱費を比較してみましょう。
【電子レンジとガスコンロの光熱費】
電子レンジ | ガスコンロ | |
調理時間 | 5分 | 20分 |
光熱費 | 約2円 | 約7円 |
野菜の種類(ニンジンやジャガイモなど)によっては、下茹でだけで10分以上かかります。
一方、電子レンジであれば2~5分程度で下茹でを済ませられます。
費用にすると僅かな差ではありますが、1ヶ月あたり数百円単位の節約です。
調理の手間・時間に関しては、数十分単位の大きな節約につながります。
電子レンジで下処理する方法も参考に、自炊のコスパアップを目指しましょう。
【電子レンジで下処理する方法】
野菜 | ワット数 | 加熱時間 | 加熱方法 |
じゃがいも (1個) | 600W | 約3分 | ・キッチンペーパーで包む ・全体に水をかける ・ラップで包む ・加熱する |
人参 (1本) | 600W | 3~4分 | ・人参を好みのサイズにカット ・耐熱皿に入れる ・水を大さじ1入れる ・ラップをふんわり被せる ・加熱する |
ブロッコリー (1株) | 600W | 3~4分 | ・小房にわける ・耐熱皿に入れる ・水を大さじ1~2入れる ・ラップを被せる ・加熱する |
かぼちゃ (100g) | 600W | 約2分 | ・種とわたを取る ・一口サイズにカット ・耐熱皿に入れる ・水を大さじ1入れる ・ラップをふんわり被せる ・加熱する |
どの野菜も事前に洗ってから加熱してください。
また、野菜の量によって加熱時間は変わります。
初めての人は30秒ずつに区切って加熱し、熱の入り加減をチェックしてくださいね。
一人暮らしの「自炊・中食・外食」を比較!

一人暮らしにおいて自炊はどの程度コスパが良いのか、中食・外食と比較しながら解説します。
自炊・中食・外食の費用
一人暮らしの食費について、自炊・中食・外食を比較してみましょう。
【自炊・中食・外食の費用を比較】
自炊 | 中食 | 外食(昼・夜) | |
1食分 | 約300円 | 約300~500円 | 約500~1,000円 |
1ヶ月分 | 約27,000円 | 約27,000~45,000円 | 約30,000~60,000円 |
中食は特売品やタイムセールなどを狙えば、自炊との差はほとんどありません。
一方、外食は調理・後片付けなどの手間がかからないため、費用のウェイトが大きくなります。
自炊・中食・外食のメリット・デメリット
自炊・中食・外食のメリット・デメリットを解説します。
【自炊・中食・外食のメリット・デメリット】
自炊 | 中食 | 外食 | |
メリット | ・費用が安い ・栄養バランスを調整できる | ・外食より安い ・調理の手間がない | ・調理や後片付けの手間がない ・プロの料理が食べられる |
デメリット | ・調理の手間と時間がかかる ・慣れないと続かない | ・費用が割高 ・品切れの可能性がある ・ゴミが出る | ・自炊や中食より割高 ・時間帯によっては店が閉まっている |
費用・手間のバランスを考えると、自炊+中食の組み合わせがおすすめです。
自炊が毎日できれば、費用はグッと節約できます。
しかし、慣れないうちは続かない可能性もあるので、中食も選択肢に入れてみましょう。
前述したように、特売品やタイムセールを狙えば、自炊と変わらない費用に抑えられますよ。
1人暮らしの食費平均は?
総務省統計局の家計調査によれば、一人暮らしの食費平均(1ヶ月あたり)は以下のとおりです。
・食費全体:39,069円
・外食 :7,840円
・中食 :7,536円
※出典:総務省統計局 2022年度 家計調査
上記を目安に、自分の食費がどのくらい高いのか確認してみましょう。
【自炊は無理!】そんなときは価格&栄養バランス◎の「冷凍弁当」
冷凍弁当とは、カロリーや塩分など、栄養バランスが整えられた冷凍食品です。
価格帯は中食レベル(500円前後)ですが、外食ほどお金がかからず、自炊にかかる手間・時間を節約できます。
冷凍弁当のメリット・デメリットは次のとおりです。
【冷凍弁当のメリット・デメリット】
メリット | デメリット |
・チンするだけで食べられる ・オンラインショップで買える ・保存期間が長い(冷凍6ヶ月程度) ・手頃な価格帯(400~600円) | ・1食分の量を調整できない ・冷凍庫を圧迫する ・送料がかかる ・ゴミの量が増える |
冷凍弁当はセット売りが一般的なので、10食以上になると冷凍庫を圧迫します。
1食分の量も決まっているため、人によっては物足りなさを感じるでしょう。
しかし、冷凍弁当は手頃な価格かつ、栄養バランスの整った食事が楽しめる商品です。
オンラインショップから購入できるため、自分で買いに行く必要もありません。
「自炊できないけどコスパにはこだわりたい!」そんな人は、冷凍弁当の購入も検討してみてくださいね。
▼価格・栄養バランスに優れたおすすめの冷凍弁当
【結論】「コツ」を知らない自炊はコスパが悪くなる!
1人暮らしの自炊は、「コツ」を知らなければコスパが悪くなるため注意が必要です。
自炊は食費を効果的に抑えられる食事方法です。
しかし、手間・時間をかけすぎてしまうと、決してコスパが良いとは言えません。
「コスパの良い食事」として重要なのは、「いかに楽をしながら節約するか?」というポイントです。
そのため、「自炊+中食(お惣菜やお弁当)」の組み合わせで、費用・手間・時間のコスパをアップさせましょう。
「一品だけお惣菜」「1週間に1日だけお弁当」など自炊の休日を設けることで、やる気も維持しやすくなります。
適度に休みつつ、「自炊のコスパをアップさせる5つの簡単節約術」で解説した節約方法も試してくださいね。