投稿日:2021年4月14日 | 最終更新日:2023年10月11日
大学生の1人暮らしでは、「住民票」を移すべきかどうか悩む人、面倒で手続きをしたくないといった人もいるのではないでしょうか。
しかし、まずは悩む前に提出しなかった場合のデメリットやペナルティなどを知って、適切に判断することが大切です。
この記事では、住民票の基本的な知識と、移さなかった場合のデメリットやペナルティについて解説します。
まずは知っておこう!住民票とは?
住民票とは、住民と住居の関係を公的に証明するためのものです。
市区町村ごとに住民基本台帳へまとめられ、「住民の氏名」や「生年月日」「住所」「その地域の住民になった年月日」などの情報が記されています。
各自治体は、現住所の証明や人口の調査、公的な案内の送付などに住民票を利用します。
つまり、各種行政サービスを受けるために必要なものです。
住民票と戸籍は異なるものなので、認識のズレに注意しましょう。戸籍とは、本人の身分関係(出生・死亡・婚姻など)を証明するものです。
また、住民票に関わる書類として、転入届・転出届・転居届の3種があります。これらは住民票を移す際に必要な書類です。
手続きの詳細については後述しますが、それぞれどのような書類なのかも把握しておきましょう。
住民票の移動に関わる書類
まずは、各書類を簡単に解説します。
書類 | 必要なケース | 提出先 | 提出期限 |
転入届 | 他の市区町村へ引越す | これから住む市区町村の役場 | 引越し当日から2週間以内 |
転出届 | 他の市区町村へ引越す | これまで住んでいた市区町村の役場 | 引越し前の2週間以内 |
転居届 | 同じ市区町村内で引越し | これから住む市区町村の役場 | 引越し当日から2週間以内 |
転入届
他の市区町村から引越してきた際、これから居住する自治体の窓口へ提出するための書類です。基本的には、引越しをする本人、もしくは世帯主が提出しなければなりません。
転入届の提出は、引越し当日から2週間以内が原則です。
「これから、この地域に住みます」というのを証明するための書類だと考えておきましょう。
転出届
転出届は、別の市区町村へ引越しする際、これまで住んでいた自治体の窓口へ提出する書類です。同じ市区町村へ引越す場合は、提出する必要はありません。
この書類を提出し手続きすることで、住民票が移動されます。転出届に関しては代理人(家族や親族)が提出できます。
基本的には、引越し前の14日以内に提出しなければなりません。
「これから、この地域を出ます」というのを証明する書類だと考えておきましょう。
転居届
同じ市区町村内で引越しをする場合は、転居届を自治体の窓口へ提出します。
同じ市町村区内でも、住所が変わったことを自治体へ伝えていなければ、公的な書類が自宅へ郵送されてきません。
転居届の提出期限は引越し当日から2週間以内です。
大学生でも住民票を移す義務はある!
市内・市外どちらへ引越す場合でも、住民票を移すのは住民基本台帳法によって定められた義務です。
必要な書類を定められた期限以内に提出しなければなりません。手続きを済ませていない場合、罰則を受ける恐れもあります。
ただし、一部の例外を除いては、住民票を移す必要がありません。
これらの罰則と例外に関しては、以下の段落で詳しく解説します。
住民票を移さない場合のペナルティとは?
引越しをしたあと、正当な理由なく住民票を移していない場合は最大5万円の過料(刑罰ではないが、金銭罰にあたる)が課せられます。
拒否できないので、裁判所から命じられると支払わなければなりません。
ただし、一部の例外を除いては、住民票は移さなくてもいいということになっています。特に、大学生の場合は、この例外に当てはまる人が多いです。
次の段落では、その例外について解説します。
住民票を移さなくても良い正当な理由
具体的には、以下のケースに当てはまる場合、住民票は移さなくても良いとされています。
- 引越し後も生活の拠点が移動していない
- 新しい住所への居住期間が1年未満と決まっている
このどちらかに当てはまる人は、住民票を移す必要がありません。
「生活の拠点が移動していない」
「生活の拠点が移動していない」というのは、以下のようなケースが当てはまります。
- 大学卒業後は実家に戻る
- 週末は実家で過ごす
心配な人は、引越しをする前に新しい住所のある自治体へ確認してみましょう。
一方で、大学卒業後も1人暮らしを続ける、実家へ帰る予定はないといった人は、住民票を移す必要があります。
「居住期間が1年未満」
これは、単身赴任などを理由に、新しい居住地での居住期間が1年未満と決まっているケースです。
大学生の場合、実家をリフォームする、実家を建て直すなどの理由で一時的に1人暮らしをするといった事情がない限り、当てはまらないかもしれません。
大学生が住民票を移さない5つのデメリット
大学生は住民票を移さなくても良いケースがあるといっても、移さないデメリットは大きいです。具体的に、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
- 重要書類が自宅へ届かない
- 本人確認が必要な際は面倒
- 新しい居住地の行政サービスが受けられないことがある
- 住民票の写しが必要なときは実家へ連絡or地元へ戻る
- 自動車免許の更新や本試験は地元へ戻って行う
重要書類が自宅へ届かない
重要書類というのは、国民年金保険料の納付書や健康保険証、大学関連の書類などです。
このような書類は住民票を登録している自宅へ送られてくるので、住民票を移していない場合はすべて実家へ送られます。
必要な場合は、実家から郵送してもらう必要があります。
本人確認が必要な際は面倒
銀行口座の開設やクレジットカードの利用、病院で診察券を作るといった際には本人確認書類が必要になります。
運転免許証や保険証などを本人確認書類として利用するケースも多いですが、これらに記載されている住所と現住所が違う場合は、その都度説明しなければなりません。
現住所と本人確認書類の住所が一致していないと、運転免許証や保険証が本人確認書類と認められないからです。
そのため、現住所へ送られてくる郵便物や公共料金の領収書などを一緒に持っていき、本人確認を行います。
行政サービスが受けられないことがある
住民票は行政サービスの基礎となる重要なものです。そのため、住民票を移動していないと、その居住地の行政サービスが受けられない恐れがあります。
例えば、市民向けの体育館や図書館、福祉サービスなどを利用できないケースです。
必ずしも受けられないということはありませんが、利用する際は事前に確認する必要があります。
住民票の写しが必要なときは実家へ連絡or地元へ戻る
大学生がアルバイトを始める際、住民票の写しを求められるケースがあります。
雇い主は従業員の身元を把握しておきたいので、パーソナルな情報が記載された住民票の写しを求めます。
そのため、住民票を移していない人は、実家へ連絡して住民票の写しを取ってきてもらう(代理人が受け取ることも可能)か、自分が地元へ戻って取りに行かなければなりません。
住民票の写しとは、「住民票の写しのコピー」ではありません。この「写し」というのは、住民基本台帳に記載された内容を写した書類です。
コピーされた書類は正式な証明書にはならないので注意しましょう。役所の窓口で受け取った「住民票の写し」を提出しなければなりません。
自動車運転免許の本試験や更新は地元へ戻って行う
まず、「教習所の卒業」ということに関しては、住民票を置いていない自治体でも可能です。
しかし、本試験を受けるには、住民票を置いている自治体の免許センターへ行く必要があります。教習所を卒業しただけでは、運転免許証は交付されません。
また、運転免許証の更新案内は現住所ではなく、住民票に記載の住所へ送られます。そのため、住民票を移していない人は、地元・実家(住民票に記載の住所)へ帰って更新手続きを行います。
地元に住民票がある場合は、一度帰らなければならないことも理解しておきましょう。
住民票を移す手続き
まずは手続きに必要なものを準備
どの届出においても必要なものは、以下の3つです。
- 本人確認ができる書類(運転免許証やパスポートなど)
- 印鑑(シャチハタはNG)
- 届出用の書類(役所でもらう)
自治体によっては、印鑑が不要なケースもあります。事前に確認しておきましょう。
ただし、書類上の記載不備があれば、訂正印を押す必要があります。そのため、必要のない場合でも念のため持参するのがおすすめです。
届出ごとの手続き方法
ここからは、届出ごとの手続き方法を見ていきましょう。
転出届の手続き
転出届は、別の市区町村へ引越しをする場合に提出する書類です。提出する際は、引越し先の市区町村にある役所窓口へ準備したものを持っていきましょう。
提出期限は引越す2週間前~当日なので、住民票を移す際は一番最初に行う手続きです。準備ができ次第すぐにでも提出するのをおすすめします。
提出後は「転出届証明書」という書類を受け取ります。この書類は転入届を提出する際に必要なので、必ず保管しておきましょう。
自治体にもよりますが、転出届は郵送で提出できるケースもあります。自治体のHPからダウンロードした専用書類と本人確認書類の写しを返信用封筒(転出届証明書を受け取るため)に入れて郵送するだけです。
代理人に提出してもらう場合は、委任状も同封しなければなりません。
同じ市内の別の区へ引越す場合
同じ市内でも別の区へ引越す場合、転出届の提出は基本的に必要ありません。
このケースは区間移動や区間転居と呼ばれる手続きになります。区間移動届や住民移動届、転入届、転居届を提出します。
東京23区内での引越しは、転出届も必要です。手続きの際は、必ず引越し先の自治体HPをチェックor連絡を取り、手続き方法を確認しておきましょう。
転入届の手続き
転入届は別の市区町村へ引越す際に提出する書類です。引越し先の市区町村にある役場窓口へ提出しにいきましょう。
提出する際は、本人確認書類と印鑑に加え「転出証明書」も持参しなければなりません。提出期限は引越し当日から2週間以内です。
また、転入届は郵送による提出に対応していないので、直接足を運ぶ必要があります。
転居届の手続き
転居届は同じ市区町村内で引越しをする際に提出する書類です。提出先は、これまで住んでいた自治体の役所で問題ありません。
転居届も、郵送での提出に対応していないので注意しましょう。
住民票の移動が遅れたときは?正しい手続きでペナルティを防ぐ
法律上、住民票を移すための書類の提出期限は定められています。しかし、忘れていたからといって、二度と手続きできないわけではありません。
まず、転出届や転出証明書には提出期限があっても、有効期限はありません。そのため、提出期限を過ぎてからの提出は可能です。
転出届けはごまかさない!
転出届けの提出が遅れたときの注意点として、日付記入欄に嘘は書かないようにしましょう。転出届には「転出予定日」、転入届は「転入した年月日」などを記入します。
手続きが遅くなったからといって、これらの日付をごまかして記入すると虚偽申告になる恐れがあります。
また、住民票を移すのが遅れた場合は、最大5万円の過料に課される可能性があることも忘れてはいけません。ただし、これは「正当な理由なく手続きしなかった場合」です。
手続きが遅くなると役所窓口でいろいろ聞かれるかもしれませんが、正直に応えましょう。大学生の場合、過料に課せられるケースは少ないようです。
【大学生も住民票を移す?】まとめ
住民票を移す手続きは、慣れない人にとって面倒なものかもしれません。しかし、移していることで得られるメリットは大きく、1人暮らしが始まってからの手間も減ります。
忙しい大学生活で余計な時間を取られないためにも、住民票はあらかじめ移しておくことをおすすめします。
引越しをする際には、役所で書類をもらい、必要事項を記入して速やかに提出しておきましょう。